「60~70年生の原木」時を越えた想い
田中林業株式会社
田中 惣一
TOKYO WOOD WORKER‘S 田中林業の田中です。
早くも2回目のコラムとなりますが、今回は弊社の森の歴史について紹介させていただきます。
田中林業の森の神様
現在、父と私が所有している山林の管理を会社(田中林業株式会社)が行っているのですが、面積は約430ha、月並な表現ですが東京ドーム約100個分の森を管理しています。ほとんどが檜原村内にあり、針葉樹と広葉樹の割合がほぼ半々の、林業を行っている森としては珍しくバランスの取れた森となっています。
炭作りの釜
これは我が家(田中家)が江戸時代、薪炭生産、つまり広葉樹の森を中心に事業を行っていたためであると考えられます。当時の記録は残されていませんが、五日市(現・あきる野市五日市)の市へ相当数の薪炭を出荷していたと口伝されています。
針葉樹の植林を本格的に始めたのは江戸時代末期の1840年代からで、現在確認している最高樹齢の森が170年生になります。最も多いのが戦中の強制伐出で伐られた跡地に植えた60~70年生の森で、現在TOKYOWOODに供給している原木もこの森から搬出されたものです。「60~70年生の原木」といっても曾祖父が植え、祖父と父が育て、私が伐るという4代にわたっての壮大な事業の結果です。それぞれの当主とそれに関わった人の思いが詰まっています。
伐採の様子
私自身も今の森の姿にのみに捕らわれてしまって、その思いに至らないことが往々にしてあります。改めてこのように考えると林業の奥深さと、この森を後世にも伝えていかなければならないという責任感をひしひしと感じます。
この時を越えた想いを共有していただき、可能ならば共感していただいた方に使っていただきたい。それが出来るのが「TOKYOWOODの家づくり」なのではないかと感じている今日この頃です。