中嶋 博幸

“木を活かす”とは…

有限会社中嶋材木店

中嶋 博幸

木の用途は様々です。大半が建築材として使われていると思われているかもしれませんが、それは先進国での話であり、世界全体としてはいまだに薪・炭と燃料用としての需要が多いのです。

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日本では、建築材、家具、パルプをはじめ、発電、熱利用などエネルギーとして、またオガ屑をキノコの菌床、牧場の敷き藁、そして割り箸、木のオモチャなど小さな木工品などと様々です。欧州などでは近年、高層ビルの木造化も始まっていますし、私は詳しくはありませんが、セルロース・ナノファイバーなんて新たな素材も注目されています。木は捨てるところがないだけでなく、金属に比べ製造時に費やすエネルギーも桁違いに少なく環境負荷が小さい、また金型がなくても自由に小ロットで加工できることも特徴です。

 

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様々な用途があるなか、東京という小規模山間部、家業的な小さな資本会社という環境下で、生業を通じていかに木を活かせる方法はなにか?を考えることが良くあります。

東京の山の資源としては、戦後植林したスギとヒノキが大半でありますし、ある程度の安定消費量も考えるとやはり建築材としての構造材、羽柄材や内装材、そして家具材などはメイン製品になると思います。
しかし、この用途は規格化されたサイズを全国どこでもつくっていて、買い手市場であり「ハイ、おたくはいくらで納材できるの?」と当然ながら競争の世界ですので、ここで大規模山間地と競争しても、無理は長くは続きません。

 

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であるならば、他にはない付加価値を見出さねばなりません。しかも、無理せずシンプルなスタイルの中で。もちろん木材製品として強度、乾燥度、意匠性など高品質性能を担保することはもちろん前提としたうえでTOKYO WOODでは、

・林業、製材業、現場職人、とすべてのつくり手の顔が見えること。
特に通常は接点のない山側と消費者とのコミュニティーの場を積極的につくること。

・当たり前に木本来の「木の香り」がすること。
量産工場ではできない、コダワリのある製造過程もみてもらうこと。

・柱など構造だけでなく、内装、家具、階段など、余すところなく木を使い切り木の価
値を高めること。

・自然素材多き住環境のなか、省エネ、家の履歴をキチンと担保し、入居時が家の価値
観ピークではなく、住みながら価値観が向上していくような住まいづくり。

 

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これらを家づくりに関わるもの川上から川下まですべてが共有しながら、TOKYO WOODのファンを着実に増やしていけるよう、個々の役割をしっかり果たし、レベルアップしていきたいと思います。消費者から理解・納得・共感を頂けるか否かが、木を活かし、山を活かし、地域を活かすことに繋がるのだ。と考えております。