株式会社タカキ

細部に宿る加工技術 “プレカット”

株式会社タカキ

神山 尚史 / 小山田 友和 / 小林 哲也

株式会社タカキ

木造住宅において、家を建てることは木を組むところからはじまります。TOKYO WOODはその骨組みとなるパーツとして、家の骨格を形作ります。木の家には木造軸組工法という、“組む”ための木材加工が必要になります。丸太から角材へと切り出す製材業とは異なる細部の加工、それがプレカットです。東京の山元から30km圏内に位置する株式会社タカキで、TOKYO WOODのプレカットが行われています。

小林 > 株式会社タカキは創業60年を迎えた会社で、材木屋として創業しました。当時は材木屋として工務店兼大工さんに主に販売していて、リヤカーで材木の運搬を行っていたようです。それから会社の事業を「住設機器、建材、サッシ」と増やしていくにつれて会社が大きくなっていきましたね。その後は高度経済成長期ということもあり販売先の工務店が拡大していき、物流の発展にあわせて株式会社タカキは現在に至るまでに成長していきました。その中でプレカットを始めたのは1980年、日本のプレカット工場としては老舗の部類に入るんですよ。

 

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プレカットという加工のルーツとしては、材木を販売する上で付加価値を加えて売っていくための加工として始まったと言われています。それまでは現場の大工さんの手に任されて細かい部分の加工が行われていました。大量生産の時代ということもあり、買い手である大工さんの要望、作業の効率化によってプレカットにおける機械の技術、精度が上がっていきました。

神山 > プレカットの言葉の由来としましては、「“あらかじめ”という意味の(pre)、“切断”するという意味の(cut)」という二つの言葉を組み合わせた造語なんです。このプレカットは大工さんの手仕事を代行する、機械による木材加工という言葉で使われています。

小山田 > 以前は大工さんが下小屋*で骨組みを作るため木材を手刻みで加工していたんですね。その作業内容は加工をする目印をつける「墨付け」に一週間、その目印に合わせて職人が加工する「刻み」に約二週間かかっていました。その工程が現在こちらのプレカット工場では1日で終わるようになりました。

小林 > うちの工場でも機械だけで補えない部分は手刻みを行ってます。以前の大工のように現場で鉋(かんな) 、鑿(のみ)という大工道具を使う人も少ないですね。

*下小屋:建築現場に搬入する材料を加工する場所のこと

 

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TOKYO WOODでは林業、製材、プレカット、工務店が半径30km圏内で繋がっています。このサプライチェーンが大都市である東京というエリアで実現するということは他では真似できないことでしょう。しかし株式会社タカキでは、自社で各地から仕入れた木材を加工して販売しています。そのため現在のようにあきる野の製材所から、TOKYO WOODの供給を受けてプレカットのみを対応することはしていませんでした。

小林 > 株式会社タカキは材木屋から始まった会社で、それは今も変わってないんです。当社に材料を持ち込みで加工するということは一切行っていないんです。しかし現在は多摩産材、TOKYO WOODに関しては同じ東京、多摩地域ということもあって材料を支給してもらって加工賃のみで受けて行ってます。私たちの会社はビルダー系の大手さんというよりは、地域に根付いた主に地場工務店と手を取り合って仕事をしてるんです。大手さんでは現場の様子関係なく材を届けたりすることも、うちでは現場の状況に合わせて配送も複数に分けて運んだり、しっかりコミュニケーションをとって臨機応変に対応しています。

 

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今までの話の流れでプレカット加工に対するイメージとして、機械加工で仕上げていくというイメージを持った人も多いのではないでしょうか。しかし木というものは非常にデリケートであり、TOKYO WOODは無垢材によって作りあげているので反りや曲がりという性質を持っています。タカキでは機械に全て頼るのではなく、人の目利きによって性質を捉えて加工を行っているという。

神山 > 大きなプレカット工場は無垢材を好まないんですよね、木を見なくてもいいので。集材材であれば構わず機械に流していけるんですが、無垢材の場合はそうはいきません。木の目を見ながらひっくり返したり、流し方が変わってくるんです。例えば柱であれば反りがある方を壁の中に入るように機械にかけてます。

小山田 > TOKYO WOODでは我々プレカットは製材所と工務店・大工さんの間に位置しており、製品の最終仕上げと検品を行っています。この取り組みが始まった当初はそういった反りや曲がりに関する意見を大工さんから頂き、製材所と品質向上を進めていった経緯はありました。今はないですが製品を交換しないといけないことがあったり苦労した面もありましたが、製材所・大工さんの意識も変わり、そういったことはなくなりましたね。

 

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手仕事だけが職人技術ではなく、実際に木を見て機械を扱うタカキの工場風景というのは職人の姿に変わりない印象でした。プレカット技術を分かりやすいニュアンスで伝えるならば、プラモデルのパーツ作り。TOKYO WOODの細部にはこうした加工技術が加わり、それぞれのパーツが組み合わさり、最終的に家となるのです。

小林 > 私たちの工場は一般の方も見学することができるようになっています。現在はお客様の上棟予定の住宅が、当社でプレカットする際に見にきていただくことがあります。

小山田 > 自分の家の材をプレカット加工してる様子を見れるというのは、一生に一度あるかないかだと思うので、非常にいい経験になると思います。タイミングが合えば上棟前の一本の柱にサインをして頂いて、着工現場に赴いた際にサインされた柱が立っている風景を見れるっていうこともできるんですよ。TOKYO WOODで家を立てられるお客様にも是非お越しいただきたいと思います。

株式会社タカキ

株式会社タカキ

1956年の個人創業から、今年で61年目を迎えました。小金井市で創業、現在は東大和市に本社を構え、一都二県を主なエリアとして住宅用の建築資材を加工・販売しております。地域に密着した工務店と共に取り組む姿勢を大切にしています。

URL:http://www.takakigroup.net/