中嶋材木店

良い丸太を安定して仕入れるために

有限会社中嶋材木店

中嶋 博幸

製材担当の中嶋材木店の中嶋です。
今回は、製材屋の仕事として非常に重要な『丸太の仕入れ』についてお話ししたいと思います。

良い丸太を安定して仕入れられるかで、良い製材品を出荷できるかが決まるといっても過言ではありませんので、良い丸太の安定供給先が製材屋にとって大変重要なことなんです。

私ども製材所では丸太の購入ルートが

①林業家から直接買い付ける。
②丸太市場から買い付ける。

と二通りあるのですが、今回は市場での丸太買い付けについて少し解説します。

まず、多摩地域の林業家が伐採した丸太は、大半が日の出町にある多摩木材センター協同組合に持ち込まれます。東京に現存する国産材の原木市場はここ一カ所だけなのです。それを市場職員が、樹種・長さ・太さ・節の付き具合などをみて分別して並べます。

原木市場

月に二回、市を開き競りによって丸太を販売します。
製材屋さんが20~30名集まって声を出し合って競りをします。丸太は1本いくらではなく、1㎥いくら、という単位での競りです。一昔前、私たち父親の時代は、㎥単位でなく石(こく)単位で競りしてたんですよ。

競りでは当然、一番高く値をつけた人が落札します。需要が旺盛で欲しがるひとが多ければ競り上がりますし、逆の場合は価格が低迷しますので、丸太相場は製材屋の受注状況がもろに影響しますので、私たちがしっかり仕事とってこないと、シワ寄せが山にいってしまいますので責任も重大なのです。

競り風景

この時、私たちが丸太をみるなかで重要視することは
・真っすぐな直材であるか。(曲がっている木は製材後も曲がるため)
・年輪の巾(目の詰まり具合)
・過去に枝打ちなど手入れがされた木であるか。
・色や傷などはどうか。
・注文材に見合った太さか。

などを丸太の側面と切り口である木口(こぐち)を見て判断します。
側面は丸太が重なっていると上の数本しか見えませんから、大半が木口をみての判断となります。この眼力は経験が全てだと思います。言い方は悪いですが、博打的な要素もあり、製材屋としてここが面白く醍醐味があるところでもあります。ですので、この丸太の競りへは、ほとんどの製材屋が社長自らきていることが多いです。

丸太

購入した丸太は、次の市日までには引き取って製材します。
丸太仕入れは毎回市日ごとに現金決済ですので、製材屋はこの丸太を製材し乾燥し出荷し、入金されるまでには数か月間要しますので、この間のお金の負担も正直あります。

中嶋材木店

よく「丸太は直接林業家から買ったほうが安く流通するのではないか?」と言われることがあるのですが、市場には市場のメリットもあります。それは…

・山を切ると細い木、太い木、様々な形状の丸太が出てくるが、市場でそれを選別してくれて販売するため、林業家は山で選別する必要がない。
・製材屋にはそれぞれ得意なジャンルがあり、それに見合った機械設備のため、分別された市場で必要なものを必要なだけ購入することができる。
・産地証明、森林認証制度など、丸太の履歴データ管理と、それをいつどこへ販売したなどもここで管理されています。

私たち製材屋のとっての一番のメリットは、市場は分別機能を果たしているということだと思います。