木材の地産地消 その意義とは
有限会社中嶋材木店
中嶋 博幸
皆様、こんにちは。
TOKYO WOOD WORKER’S 中嶋材木店の中嶋です。今回はTOKYO WOODの木材を使うことの意義についてちょっとだけ語らせて頂きたいと思います。
まず、外国産の木材が日本の山をダメにした、そのため外材は悪者だと思っている方も意外に多いのではないでしょうか?国産農産物は高い関税などで保護されていますが、木材はもう50年近く前の高経済成長期に自由化されています。それはなぜでしょうか?
▲薪炭用材
薪炭そして軍事物資などのために、森林資源を乱伐したことによって禿げ山になった日本中の山。終戦直後に雇用対策・復興対策も含め植林しました。その後、先人逹の努力もあり世界希なる高度経済成長を遂げ、住宅も生産が追いつかない状態のなか、まだ若く未成熟な日本の山林資源では国内の木材需要を満たせませんでした。そこで木材の完全自由化に踏み切り、外国産材の木材が日本に輸入されるようになったのです。
ですので外材が国産材をダメにしたのではなく、需要と供給、そして資源の現状からすると「日本の山が未成熟で需要が旺盛な経済成長期の間、外材が補ってくれた」という見方が正しいのでは?とも言えます。
▲多摩木材センター(東京で唯一の木材市場:日の出町)
そして戦後70年、経済成長期に未成熟な山を乱伐することなく日本の森林資源は成長してきました。そして今、いよいよ国産材を使うときがきたのです。東京の山も例外ではなく使う時期到来なのです。
▲朽ちている外材
中嶋材木店では外材自由化後、ベイマツ、ベイツガ、ベイヒバなど、米材製材を約40年間行ってきました。製材業歴30年の私自身も20年近く米材を扱いました。それぞれの樹種にそれぞれの特性があることも知りましたが、経験上明らかだったのは丸太のまま野外に放置しておくとベイマツ、ベイツガは2年もすると辺材部だけでなく赤身まで腐朽してしまいます。
対して国産のスギ、ヒノキは辺材部は腐朽するが赤身はなかなか腐らないということを目の当たりにし「あー、やはり日本の気候風土に合っているんだな。」とつくづく実感しました。
▲国産のスギの美しい木目
家づくりに使う木材というのは常時雨風にさらされるわけでもないので、これらの樹種でも問題ないかと思いますが、壁内の環境とて色々ですので腐り難く地場の環境に合ったものの方が良いし安心だと思うのです。国産材を使えるのならば使うべきですし、近頃は消費者もそれを望んでいると感じています。
そして東京の方にはぜひTOKYO WOODを使ってもらいたいのです。しかし、私たち多摩の林業・製材業界は零細でもありますし、私たちと巡り会える機会、御縁も少ないのも現実です。ですので、この御縁を大切にしながら丁寧に、水の輪的に広めていきたいと思っています。
▲TOKYO WOOD 立川モデルハウス
山のこと、製材のこと、品質のこと、住まいづくりや性能のこと、そしてそれらに関わるヒトも知っていただきながら、消費者の皆さんと共に関わるヒトすべてがハッピーで三方よしを保ちながら成長していきたいと考えております。