小嶋 智明

根拠のある家づくりを追い求めて

株式会社小嶋工務店

小嶋 智明

 

1965年、小嶋工務店は府中の地で「地域の工務店」として誕生した。50年の歳月を経て、更に”半世紀:50年”続くことを目指し、地域に愛され、地域になくてはならない工務店として、「100年企業」を目指している。その想いは会社のコーポレートマークである丸太にも込められ、その年輪の本数は100本になっている。「根拠のある家づくり」をモットーに、永きに渡り一生快適に暮らせる家造りに力を注ぎ、TOKYO WOODの家を築きあげてきた。

「家づくりの考え方を変えるようなことはしない、お客様に対して嘘はつきたくないです。だから”部材の根拠”、”作り方の根拠”…全てに根拠がないと嫌なんです。いい木ですとか、いい家ですとか、そういうアバウトな話ではなくて、どういうスペックでどういう風に長持ちしていくのかということをきちんとお客様に示していきたいと思ってるんです。そのために国土交通省 長期優良住宅先導事業、長寿命住宅供給システム認定(東京都で初)の取得など、10年、20年、その先も資産価値のある家だと認められるように、国や東京都の事業には率先して取り組み、根拠を積んできました。」

小嶋 智明

小嶋工務店の長期優良住宅とは、まず経年変化の伴う住宅の劣化対策から維持管理計画までをきちんと提示し、性能の評価を取得する。図面を決めたら設計住宅性能評価を取得し、現場でも建設性能評価を取得し図面通り作っているかチェックする。TOKYO WOODの家にはこうした住宅としての優れた性能評価がしっかりと備わっており、ここまで徹底した家づくりこそが”強み”であると小嶋社長は言う。

「ここ10年で時代も大きく変わっているんです。工務店の数もどんどん減っていて、それに伴って協力業者の数も減っています。小嶋工務店はそうはなりたくないですし、父である会長が作った会社だから残していきたいんです。この先の50年を見据えて、今以上に会社を良くしていくためにも嘘はつきたくないんです。多くの会社が「暖かい」、「涼しい」、「快適」というキャッチフレーズを並べた宣伝を打っていますが、そこには根拠が全くないところばかりだと思っています。数々の受賞、認定はそうした工務店との差別化でもあり、私たちの住宅の根拠なんです。あともう一つはお客様からの年賀状です。これが少なければどんなに良い家を作っていてもダメですね。私はこのバランスが取れてはじめて良い会社と言えるようになりたいんです。」

小嶋 智明

着々と実績を積み重ねてきた小嶋工務店も以前はお客様からクレームが多かった時代もあったという。小嶋社長はそんな逆風の中で、専務取締役に就任することになった。それから社内の改革を始めるべく、様々なプロジェクトチームを立ち上げ、「地域の清掃」、「節電」、「感謝祭」などを始めていった。最初は社内から反発もあったが、そうした取り組みは少しづつ社員へと波及し、社員同士議論を重ね、社内の意識改革を推進していった。

「その当時はクレームなどで地域から信頼を失いかけていましたね。そうすると近隣のお客様からの仕事が少なくなっていくんですよ。その時、このままではいけないなと感じて、そこでまずはじめに近隣の方々に感謝の気持ちを表す為に、近隣清掃からはじめようと思って、毎週火曜日は掃除をするぞって決めました。私がまだ子供の頃、小嶋工務店が評判良かった時にオレンジ色の瓦屋根の家を作ってたんです。それでオレンジ色のジャンパーを社員揃って着て掃除を始めたんです。するとリフォームの仕事が少しづつ入ってきたんですよね。それで次は入居者の皆様に対して、感謝祭をしようってことで”小嶋祭り”と称したイベントを始めて、今では12年くらい続いています。さらには営業、設計、建設の各部門による溝があったので、様々なイベントのプロジェクトチームを部門の垣根を取っ払って作りました。こうした組織づくりによって社員それぞれの意識は近隣の皆様や入居者の皆様から感謝の言葉や年賀状等を沢山頂ける様になり変わっていきました。クレームの多かった会社が今では国、東京都、地域、第三者機関から評価され、テレビにまで取上げて頂けるまでに至ったんですから、今思うと大変な意識改革でしたね。」

小嶋 智明

家づくりに対する徹底したプロセスの中で2009年の「長期優良住宅先導事業」の提案の中で、TOKYO WOODの家づくりは本格的に始まっていった。その頃は東京の木”多摩産材”は知名度も低く、まだまだ買い手も多くはなかった。そこで小嶋社長は東京多摩地域において、地域の工務店として半世紀近く注文住宅を中心に事業を展開してきた経緯を振り返り、この多摩産材で一番の工務店になるということを決意した。

「一番になるという決意はしたものの、多摩産材を使うことには様々な壁がありました。やはり品質が気になっていたので、プロジェクトチームに対して私が定めた品質だけは担保するように依頼しました。その品質の壁を越えるためにはグレーディング(品質検査)や天然乾燥等の拘りがどうしても必要でした。沖倉さん、中嶋さんの製材所には何度も訪ねて、こだわりの品質を追い求めました。それから時間はかかりましたが、2014年”ガイアの夜明け”で放映されたTOKYO WOODの柱が完成したんです。良い部材の根拠として、TOKYO WOODには”グレーディング、天然乾燥、四面背割れ”を基準とした品質へと仕上がったんです。」

小嶋 智明

TOKYO WOODは「木の香る多摩産材普及事業」にも採択され、今まさに次のステージに進もうとしている。小嶋社長は現状に甘んじることなく、性能・品質の向上、TOKYO WOODWORKER’Sの意識改革に奔走している。いずれも「根拠のある家づくり」というブレない考え方がそうさせているのだろう。最後にこれからのTOKYO WOODの未来について伺った。

「TOKYO WOODの頂上を目指す中で、今はまだ5合目だと思ってます。この先の50年を見据えるのであれば、林業、製材業、私たち工務店、それぞれの後継者を育てていかないといけません。そのためにも二世会をつくりたいと考えています。TOKYO WOODの取り組みは永続的に続けていかないといけません。そして一棟の家づくりをこうしたTOKYO WOODWOREKER’Sというチームでつくっているわけですから、”良い家づくり”についてチームとして常に真剣に取り組んでいきたいと思っています。あとは家だけでは終わりたくないですね、このTOKYO WOODというブランドを”衣・食・住”という暮らしの中に浸透させていきたいんです。今はまだ構想ですが、こうした取り組みによって、多くの方に東京の森や山や木へ、目を向けてもらいたいと思っています。」

 

小嶋 智明

 

株式会社小嶋工務店 代表取締役 小嶋 智明(こじま ともあき)

ハウスメーカーで現場管理7年営業の経験後父が創業した株式会社小嶋工務店に入社。夏涼しく冬暖かい「ソーラーサーキット工法(外断熱二重通気工法)」に出会い、根拠のある快適な家造りに没頭しました。最近では防水性と防火性能(省令準耐火)、アフターに力を入れた結果、長期優良住宅の中でも耐久性に優れた建物のみに認められる「長寿命住宅」に日本で4番目に認定。現在は顔が見える地産地消の家づくり「TOKYO WOOD」に取組む中で東京の林業の再生させる使命に目覚め、無垢材の信頼性向上の為に品質検査導入を提唱するなど、「TOKYO WOODの家」の礎を築きあげる。

 

URL:http://www.k-kojima.co.jp/