木における「旬」
田中林業株式会社
田中 惣一
皆様、こんにちは。TOKYO WOOD WORKER’S 田中林業の田中です。檜原村の山々も緑に染まり、森の生命力をとても感じる季節となりました。関東地方ももう少しで梅雨入りですね。
今回は木の「伐り旬(きりしゅん)」について書かせていただきます。
よく農産物や海産物では「旬のもの」という言葉は聞かれると思いますが、木においても実は「旬」があるんです。それは伐採する時期のことを表します。東京の森では、水の吸い上げが少なくなる9月中旬頃から水の吸い上げが旺盛になる3月中旬頃までがこの「旬」に当たると昔から言われてきました。
この「旬」に伐った木を「葉干し(はぼし:葉を付けた状態で1~2ヶ月間、森の中に置いておくこと)」することで、内部の水分が適度に抜け、玉切った際の木口の色味もきれいに仕上がるものが多くなります。
▲葉干しの状態
一方、「旬」を外してしまったものは皮も剥けやすく、色味もくすんだものが多くなります。
近年では製材後の乾燥技術の進歩により「旬」を問わず伐採を行うようになりましたが、弊社ではこの「旬伐り」と「葉干し」にこだわりを持って生産を行っています。
▲「旬」を外してしまった丸太
▲田中林業の「伐り旬」に伐採、葉干しされた丸太
ちなみに今の時期に出材しているものは1月から2月にかけてまとめて伐採し、葉干ししたものを順に造材して出荷しています。ただ、一つ注意しなければならないのは、葉干ししたものでも梅雨を越えてしまうと虫(カミキリムシ等)が木の内部に入ってしまい著しく品質を下げてしまうということです。
梅雨入り前までの生産・出荷量を勘案して、「旬」の時期の伐採量を調整することも、より良い品質の木材を供給するためには求められます。
現在、TOKYOWOODとして弊社が供給させていただいている木材もこのような、あまり表に出ない「こだわり」のもとで生産されています。