建築は理解、納得、感動があって幸福感が育まれる
有限会社中嶋材木店
中嶋 博幸
皆さまこんにちは。
中嶋材木店の中嶋です。
今回は建築という視点でお話をさせていただければと思います。
日本は水と緑は豊富であり、古くから気候風土に合った木造建築が続いている国です。しかし時代も移り変わり、いつからか木造建築は「燃える」、「地震に弱い」というレッテルを貼られ、特に施設など規模の大きなもの、不特定多数の利用者がいる建築物は、鉄筋コンクリートや鉄骨造などが主流となりました。
そんな建築業界のトレンドも、近年では少しづつ変化があります。木造建築も様々な工法や技術が進化し、耐火性や耐震性を証明することができるようになり、また木造の方が低炭素化など環境への貢献度も高いことなどが認知されはじめ、都会の中でも木造の施設が誕生し始めています。
名古屋城も木造で計画が進んでいます。「木造の方が耐用年数が圧倒的に長いことは歴史が証明している。」と河村市長も言っています。
▲河村市長
また、単に建物を建てれば良い。ということではなく、環境に良い、地域に愛される施設など、建築にもストーリーが求められてきているように感じています。
ひとつ事例をあげると品川区の東急『戸越銀座駅』があります。2年程前に建て替えをした駅舎ですが、もともとの駅舎も古いシンプルな木造駅舎でした。建て替えるにあたり地域の方から「いままでも木造だったし愛着あるので出来れば、また木造で建ててほしい」と要望があったそうです。
そこで、いまの時代にあった木構造を設計したそうです。そして、これはどこの山でどんな人たちの手によってつくられているのか?も地域の方に知ってもらい「地域の方に長く愛される駅舎」を目指し、住民の方たちを数回にわたり大型バスで多摩の山、製材所へお越しいただき、実際に「見て、触れて、聞いて」理解と納得をされていきました。
そして、完成した時に今度は私たちが戸越銀座商店街に行き、これまでの経緯の説明と山の産物を使ったクリスマスリースづくりのワークショップもさせて頂きました。私たちも嬉しかったし、地域の方も嬉しそうでした。木造の駅舎をみて、そして地域の方に喜んで頂き、感動を共有できました。
建築とは、図面とカタログだけでは、なかなか理解・納得・感動は得られないのでは?と感じています。
どんな仕組みの建築物を、だれが、どこで、どんな思いで、つくり上げているのか?一連の工程も実際に「見て、聞いて」そして快適な暮らしが具現化出来たならば、幸せな家庭や地域が育まれるのではないでしょうか?