無垢の節あり材の魅力

節があっても価値がある木とは

有限会社中嶋材木店

中嶋 博幸

TOKYO WOOD製材担当の中嶋です。
製材屋として経験を要し、大変難しい業務として「丸太の仕入れ」があります。主には市場で仕入れるのですが、そこで私が「なにを見て価値観を決めているのか?」ということについて、今回はその中のごく一部ではありますが「枝打ち」について紹介します。

丸太の良し悪しを決める大事な要素のひとつが「この丸太はちゃんと手入れがされてきているか?」です。手入れというのは、実際に山で育っていた時に、林業家さんが丁寧に木を扱っていたかということです。

和室に使う柱や造作材ではなく、壁に覆われて見えなくなる構造材や内装材は、節があっても見えなくなります。そのため節があっても関係ないのだから、手入れがしてあるか、してないかということは関係ないのでは?と思われるかもしれません。ところが違うのです。

よく手入れしてある山の木は間伐や枝打ちがしっかりされているのです。間伐は木が大きくなるにつれて窮屈になってきますので、間引きながら間隔をあけて山に光が入るようにしてあげる仕事なのですが、枝打ちはなぜするのでしょうか?

いくつか理由があります。一つは、節のない価値の高い木をつくることです。もう一つは、*死に節のない、良い節の木材にすることです。
*死に節:丸太を製材して木材になった場合、節が黒ずんだ状態になります。また、その死に節が乾燥して木材から取れてしまうものを「抜け節」といいます。

無垢の節あり材の魅力
▲節がない材料は少ししか取れない

どんなに手入れをして枝打ちをした木でも製材した際、芯に近くなってくれば必ず節が出てきます。それでも、その節が枝打ちをした木の節であったり、枝打ちをしていない木の節では全く価値が異なります。間伐も枝打ちもしない森の地面は暗くて土も痩せ、木も根元の方まで節だらけで、そのうち下の方の枝は枯れて落ちていきます。

こういう森の木の節は製材すると「死に節」といって木を乾燥させて削ると節が飛んでしまい穴だらけになってしまいます。しかし手入れをした木の枝は「生き節」と言って、抜けたりしない特徴的な木目の節になります。

無垢の節あり材の魅力
▲生き節のあるフローリング

ですので、木を選ぶときに丸太の側面をみたり、木口(木の切り口)をみて、枝打ちをして手入れをした木なのか?を見るようにしています。この写真は枝打ちが容易にわかります。これは160年生くらいのヒノキですが、120年くらい前に刃物でシッカリ枝打ちした痕がみえるのです。先人たちの仕事っぷりが想像できます。良い丸太か否かを丸太の外観だけをみて決めるので、製材屋にとって少々ギャンブル的なところもあり、面白くもありやりがいのある仕事でもあります。

無垢の節あり材の魅力
▲160年生くらいのヒノキ

これからもTOKYO WOODの目利き役として、良い材料を供給していきたいと思います。